政府が東日本大震災の直後に福島第1原発の事故状況を撮影した衛星画像を、「秘密保全」を理由に事故当事者の東京電力に提供せず、事故対応に活用していなかったことが明らかになりました。11月20日の衆院国家安全保障特別委員会での日本共産党の赤嶺政賢議員の質問に政府が認めました。
内閣官房が運用する情報収集衛星の画像は現行の「特別管理秘密」に指定され、秘密保護法案が成立すればほぼそのまま「特定秘密」に移行します。森雅子法案担当相の「原発事故に関する情報は『特定秘密』の指定対象にならない」(7日、衆院本会議)との答弁とも矛盾します。
赤嶺氏に加藤勝信官房副長官は「衛星で撮像した東日本大震災、福島第1原発事故の画像の判読・分析を行い、関係省庁に結果を配付・伝達した」と述べ、政府が撮影した事故状況の衛星画像の存在を初めて認めました。東電への開示について加藤氏は「秘密保全措置が講じられていないので非公開という対応をとらざるをえない」と説明。代わりに、民間企業から約4800万円で購入した商業衛星画像55枚を東電に提供したことを明らかにしました。
赤嶺氏は、政府が情報収集衛星の導入目的を「大規模災害等への対応」と国民に説明してきたことをあげて、「事故の拡大防止と住民避難のためにあらゆる情報が必要な時に、画像は『秘密』にされて使えなかった」と指摘。「『災害対応』のための衛星とは、国民を欺くものだ」と追及しました。
事故発生直後の衛星画像には、原発建屋や周辺施設の損壊状況など重要な情報が含まれています。赤嶺氏は「『安全保障』とさえいえばなんでも『秘密』にできることが問題だ」と強調しました。