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中西経団連会長 「原子力産業は始めたら100年やめられない」・・原発反対の世論に挑戦

中西経団連会長 「原子力産業は始めたら100年やめられない」・・原発反対の世論に挑戦

 「原子力の最大の課題は社会的信頼の回復」。このテーマが国の審議会などで俎上(そじょう)に上ったのは一昨年ごろです。資料として、原発再稼働に関する新聞各社の世論調査の動向が示され、「賛成対反対は1対2」で「変わらない」とされました。その後も世論は再稼働反対が多数です。

 推進派が孤立するなかで、原発輸出で行き詰まる日立製作所の会長で経団連会長の中西宏明氏が、原発を続けるには国民的議論が必要だと述べたことが話題です。同氏は、昨年まで開催された経産相主催のエネルギー政策を検討する会合の委員でした。

 そこでも、原発メーカーの立場から国内の原発事業について「商売としては非常に厳しい」と発言していました。実際、同社が納入した原発は福島原発事故後1基も動いていません。

 海外についても「厳しい状況が来ている」「投資の手控えがものすごく出ている」と説明。「大胆な経営判断をしないと、なんとも立ち行かない状況にもう来ている」と語っていました。

 だったら撤退かというと、そんなことはなく、「原子力産業は始めたら100年やめられない」と。だから真正面から議論しようと、政治にもそれを求めました。

 どんな議論をしようというのか・・同氏はこんなことを話していました。「原子力の議論を、そろそろ『好きだ、嫌いだ』というような観点で議論することから脱したい」。原発反対の世論を真正面から受けとめるつもりはないようです。社会的信頼の回復には程遠いと言わざるを得ません。

(「しんぶん赤旗」2019年1月10日「きょうの潮流」より転載。見だし=山本雅彦)