東京電力は6月29日、青森県東通(ひがしどおり)村で建設を中断している東通原発について、建設再開のため、本格的な地質調査を今年度後半から開始すると発表しました。重大事故を起こした東電が原発新増設を進めることに、県民から怒りと心配の声が上がっています。
東電は同原発1、2号機の建設を計画。両機で計277万キロワットの大型原発です。1号機は2011年1月に着工しましたが、同年3月の東日本大震災・福島第1原発事故を受け、工事を当面見合わせるとしていました。
隣接する東北電力東通原発は、東日本大震災で外部電源の供給が停止し、福島第1で起こった全交流電源喪失の寸前でした。敷地内の活断層の存在も指摘されています。
東電の小早川智明社長は同日の記者会見で「原子力は電気事業者の責務」「国のエネルギー政策的にも必要」などと、建設再開を強行する姿勢を示しました。
東電に資格なし
核燃料サイクル施設立地反対連絡会議の谷崎嘉治事務局長(青森市)の話 六ケ所の再処理施設も動かず、米国からもプルトニウムが増えることに懸念の声があがっている。新たに原発をつくって、使用済み核燃料を増やすことは論外だ。いま福島第1原発の刑事裁判で、東電幹部が、予測されていた津波への対策を取り上げなかったことが明らかになっている。柏崎刈羽原発の再稼働も含めて、東電には原発を動かす資格はない。
(「しんぶん赤旗」2018年6月30日より転載)