京都市で義肢装具士として働く佐々木真紀さん(35)。初めて原発ゼロを求める行動に参加してから1年半。行動は、米軍欠陥機オスプレイ反対から秘密保護法反対まで広がりました。「国民の声を踏みにじって、なんでも強行する安倍首相の暴走に黙っていられない」と語ります。
(秋山豊)
京都 佐々木真紀さん
「命を大切にし、すべての人が人間らしく生きられる社会をつくる役に立ちたいと思ってこの職業を選びました」
義肢装具士の誇りです。キャリア13年。神経障害などで足に病変を抱えた患者のため、医療用の靴や中敷きをつくる職人です。朝9時から夕方6時まで立ち仕事が続きます。
休日を利用して児童施設で小学生らと遊ぶボランティアもしています。こまを回し、折り紙をつくる佐々木さんに笑みがこぼれます。
仕事が終わると佐々木さんの表情が一変します。
毎週金曜日の夜は関西電力京都支店に怒りをぶつけます。「原発再稼働反対!」。身を切る寒さのなか、関西電力前でコールをあげる仲間たち。佐々木さんは、ドラム隊に合流してオカリナで「となりのトトロ」の曲を吹いて盛り上げます。
「デモの魅力はなんといっても仲間との一体感です。自分の訴えが相手に伝わった瞬間もうれしい。デモや集会で意見を表明する。政治に参加して声をあげれば社会は変えられる、と訴えたいんです」
行動予定はもっぱらインターネットで調べます。安倍政権が秘密保護法を強行成立させた12月は、週に6日間も抗議行動に駆けつけました。
「戦争する国をつくろうというのが秘密保護法の本質です。そのために国民の知る権利を奪い、運動を弾圧しようとしている。危機感を覚えます。さらにたたかいを広げたい」
仲間が広がって
初めて参加した運動は、2012年6月。東京電力福島第1原発事故の放射能汚染を告発したドキュメンタリー映画「バベルの塔」上映会のボランティアスタッフでした。上映会が開かれた滋賀県東近江市。ひとりで飲食店に飛びこみ、ビラとチケットを置かせてもらいました。
「大豆料理が好きで食の安全に関心が強かった。多くの人が原発や放射能に不安を抱いているのに再稼働へ突き進む政府に疑問を抱いたのが運動を始めたきっかけです」
昨年は、出会った仲間が広がり、一緒に各地の運動を盛り上げてきました。
オスプレイの撤去と日米合同演習ノーを訴える「あいば野大集会」(13年10月6日、滋賀県高島市)にも参加しました。
四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)の再稼働に反対する「NO NUKES(ノーニュークス)えひめ」(12月1日)に参加するため、松山市までドラム隊の仲間とバスを1台借り切り50人で駆けつけたこともあります。
「運動に参加して社会問題を考えるようになり、政治は暮らしの問題だと気づきました。たたかうということは平和な暮らしを守ることだと思います」
ピースアクション
住んでいる伏見区桃山地域に根を張る活動にも目を向けています。「桃山ピースアクションの会」。昨年(2013年)11月、原発ゼロを求める運動で出会った女性ら8人で立ち上げました。会費も会則もありません。戦争する国づくりがいやで、平和を求める人なら誰でも入れます。
会として商店街で秘密保護法廃止を求める署名も訴えています。少しずつ仲間が増え、「ビラ配りなんてしたことない」と話す女性も参加するようになりました。メンバーの自宅に弁護士を招いてケーキを食べながら秘密保護法の学習会も開きました。
今年の抱負を力強く語ります。
「平和の大切さを訴え続けてきた先輩たちの運動を受け継ぎ、全国で声をあげる仲間を増やしたい。運動は私たちの声こそが政治を動かす力だと教えてくれました。秘密保護法も反対世論を大きく広げて必ず撤廃に追い込みます」