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原発事故の刑事責任問う裁判 始まる・・津波予見が争点

初公判のため東京地裁に入る(写真左から)武黒一郎元副社長、勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長=6月30日、東京・霞が関

 のぼる 東京電力福島第1原発事故をめぐって、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の旧経営陣の裁判が始まったね。

 みどり 東京地裁で先月末にあった初公判ね。起訴されたのは元会長の勝俣恒久被告(77)と、いずれも元副社長で原子力部門のトップを務めた武黒一郎被告(71)と武藤栄被告(67)の3人で、事故の刑事責任が裁判で争われるのは初めてよね。

津波予見が争点

 のぼる 事故につながった巨大津波は予見できたのかなどが争点だというね。

 みどり ええ。初公判で、検察官役の指定弁護士は、被告は津波の襲来できた。対策ができないなら原発の運転を停止するべきだったと指摘しているのよ。3被告は無罪を主張したわ。

 のぼる 津波の問題ではどんなことが取り上げられたの?

 みどり 指定弁護士は、東電が2008年3月に最大15・7メートルの津波が襲来するという計算を行い、武藤、武黒両被告に報告していたことを指摘したわ。

 のぼる 事故が起きた1~4号機が建つ敷地(海面から10メートル)をはるかに超える高さだね。

 みどり そう。これは、三陸沖北部から房総沖でマグニチュード8級の地震の可能性を指摘した、政府の地震調査研究推進本部の「長期評価」に基づいた計算なの。武藤被告に報告されたのは計算結果だけでなく、高さ20メートルの防潮堤を設置すべきだとかの対策を盛り込んだ検討結果もあったのよ。

 のぼる のぼるでも結局、そういう対策が取られないままだったよね。

対策採用されず

 みどり 武藤被告は数力月後、「土木学会に検討してもらう」として、「長期評価」に基づいて津波対策を講じる意見は不採用になったそうよ。

 のぼる 勝俣被告は?

 みどり 09年2月の会議で、当時東電の原子力設備管理部長だった吉田昌郎・元福島第1原発所長(故人)が「14メートル程度の津波が来る可能性があるという人もいる」と発言したのを、勝俣被告は「明確に聞いた」と。

 のぼる 危険な原発を扱う会社の責任者として義務を尽くしたかどうかが問われているね。

 みどり そう思うわ。

 〔2017・7・5(水)〕

(「しんぶん」赤旗2017年7月5日より転載)