日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター(茨城県大洗町)で作業員5人がプルトニウムによって内部被ばくした事故で、原子力規制委員会は6月21日午後、対応の「適切性に疑問がある」として、事故のあった燃料研究棟などへの立ち入り検査を始めました。
立ち入り検査では、核燃料物質の取り扱いについて、使用許可や保安規定の内容との適合状況を確認します。
事故は6日、核燃料物質の貯蔵容器のふたを開けて内容量を確認する作業中に起きました。金属製の容器を開けた際、核燃料物質の入ったビニール袋が破裂し、内包されていたプルトニウムなどで作業員が被ばくしました。19日には原子力機構が事故経緯などについての法令報告を規制委に提出しています。
原子力機構は、これまで、作業を実施した開放型のフード」と呼ばれる作業台について使用許可上の問題はないと主張しています。
しかし、規制委は、①フードで貯蔵容器のふたを開けたことは、本来の使用目的と違う②破裂したビニール袋は、核燃料物質の長期的な閉じ込めを担保し難い③作業員が汚染区域から退出を開始するまでに3時間以上かかったことに疑問があるとしています。
規制委の田中俊一委員長は21日の定例会合で、「原子力機構はいろいろなトラブルを起こし過ぎ。安全確保に対する資質忙ついても話を聞き、検査で洗いざらい出してほしい」と述べました。
(「しんぶん」赤旗2017年6月22日より転載)
規制委委員長が柏崎刈羽調査へ・・許可前施設へは初
原子力規制委員会の田中俊一委員長は6月21日、新規制基準適合性審査が進められている東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)6、7号機の現地調査を行う考えを示しました。田中委員長自身が、許可前の施設を訪れて調査を行うのは初めて。
この日開かれた規制委の定例会には、東電の広瀬直己社長が呼ばれ、6、7号機の審査書類の補正の提出について、これまでの取り組みなどを説明しました。
柏崎刈羽原発6、7号機の審査では、事故対応拠点の耐震評価で事実と異なる説明を長期間にわたって繰り返してきたことが判明。規制委は2月、審査書類の総点検と再提出を求めて、審査が中断していました。
東電は総点検が終了したとして、今月16日に、審査書類の補正を規制委に提出していました。
田中委員長は、現地で現場の責任者らから安全への意識や技術的な技量などを確認したいとしています。「福島第1原発事故を起こした東電ですので、そこを確認しないと落ち着かない」などと説明しました。
(「しんぶん」赤旗2017年6月22日より転載)