関西電力が福井県の高浜原発3号機をきょう再稼働させるといいます。昨年(2016年)3月の大津地裁の仮処分決定をうけ運転中に停止した原発で、4号機に続くものです。
福井県は廃炉中も含めて15基の原発がひしめく“原発銀座”。再稼働の前提となる審査を行う原子力規制委員会は先月、関電の大飯原発3、4号機を“合格”とする審査書を決定。関電は年内にも動かすことをねらっています。運転開始から40年を超える老朽原発3基も審査が終了しています。
しかし、複数の原発が同時に事故を起こす事態など審査の対象外です。動かせば増え続ける使用済み核燃料の貯蔵プールも満杯に近づき、その後の見通しは立っていません。高浜原発はウラン・プルトニウム混合化合物(MOX)燃料も使いますが、使用済みMOX燃料の処理・処分については計画さえない状態。
これらに目をつぶり続けたままです。原発事故が起きた場合の避難計画も自治体任せ。その実効性を第三者が検証する仕組みになっておらず、住民の安全は二の次です。
折しも、規制委の次期委員長の人事が決まり、規制委発足当初から新規制基準づくりや審査を担当してきた現在の委員長代理がその任にあたります。国会で、住民の避難計画を規制の対象にすべきではないかと問われ、その意思がないと答弁しました。
その人物が東京電力福島第1原発事故の反省として、こう語っています。「規制当局が、安全神話の普及に手を貸していた側面があろうかと」。過去の話でしょうか。
(「しんぶん赤旗」2017年6月6日より転載)