関西電力の高浜原発1、2号機(福井県高浜町)の運転延長の審査手続きに対応していた関電の40代課長が過労自殺した問題で、福井労働局敦賀労働基準監督署が管理職を含む全社員の労働時間管理の徹底を求めた指導票を交付していたことが1月16日、分かりました。
福井労働局が6日、出頭を要請し、出向いた岩根茂樹社長に直接手渡しました。
指導票は、労働基準法や労働安全法などの違反がなくても労働環境に改善事項がある場合に事業主に出されます。厚生労働省は2015年5月、違法な長時間労働を繰り返す大企業に対して、経営者を呼び出し、労基法違反の是正勧告書とともに、早期是正を求める指導票を交付し、ブラック企業名を公表するよう47都道府県の労働局に指示。今回は、関電のような大企業のトップに指示するきわめて異例のケースです。
この課長は、運転開始から40年たった高浜原発1、2号機の運転延長をめぐって、1、2号機の設備や機器の詳細設計を示した「工事計画」の審査対応を担当。8万7000ページに上る原子力規制委員会へ提出する資料作成に携わりました。福井と東京を行き来し、最大で月200時間、自ら命を絶った昨年4月20日の前日までに月150時間の残業をしていたといわれます。
これに対し、岩根社長は「忙しい状況があったのは事実」と認めつつも、「当社の社員であるかも含めて差し控える」(昨年10月28日の会見)との主張を繰り返していました。
関電は「今回の指導を真摯(しんし)に受け止め、引き続き適正な労働時間管理に努める」と話しています。
(「しんぶん赤旗」2017年1月17日より転載)